石破茂氏が嫌われる理由
自民党総裁選挙
2020年9月に自民党総裁選挙が行われ、菅総理総裁が誕生しました。
1年が経ち、2021年9月に再び自民党総裁選が行われます。
石破茂氏はこの間、水月会(石破派)会長を辞任して、水月会は他派閥の草刈り場となっています。メンバーは17人と総裁選立候補推薦人(20人)を割り込むまでになっています。
石破茂64歳 総理総裁としては適齢期です。
2021年9月の自民党総裁選に5回目の挑戦はするのでしょうか?
すでに挑戦する資格は失っています。
その理由として
・総裁選立候補は3回までという不文律がある(例外はあるが・・・)
・前回総裁選で3位となり、次回立候補の資格喪失
過去総裁選へ4回以上立候補した人物
石井光次郎 4回
藤山愛一郎 5回
三木武夫 4回(4回目で当選)
麻生太郎 4回(4回目で当選)
この4名だけです。
麻生氏も4回目で当選はしましたが、前回選挙である程度の地位を確保しての敗退でした。石破氏は選挙の度に票を減らしています。
石破茂氏の盟友は誰なのか
安倍前総理が第二次政権誕生の際、菅総理が立候補への強い後押しをしたというのは有名な話です。7年余りの間、麻生財務大臣が常にそばにいて支え続けました。
古くは
強力な地盤を築いた総理には、実力のある盟友が必ずいました。
石破茂氏には、協力に後押ししてくれる影響力のある盟友はいるでしょうか?
今のところ見当たりません。
現在は清和政策研究会(細田派)が第一派閥です。前回総裁選同様、細田派の実質オーナーである安倍前総理が誰を支持するかで勝負は決します。
次回総裁選では、推薦人を確保できるかどうかという可能性が高いと思われます。
石破茂氏が嫌われる理由
①自民党離党の過去
1993年細川政権が誕生して、自民党は野党に転落しました。その自民党が一番大変な時に、当時の森幹事長に暴言を吐いて離党しました。
②麻生おろしに加担
麻生政権の閣僚(農林水産大臣)だったのにもかかわらず、当時の麻生総理に総辞職を要求する。→麻生氏激怒する。
人間は自分のやったことは忘れがちですが、された方はよく覚えているものです。
当然、麻生財務大臣の盟友である安倍前総理はよく覚えているはずです。
今後も石破茂氏はどうなっていくのか
サラリーマン社会でも、出世をあきらめた人間ほど強いものはありません。
安倍政権時、問題が噴出すると自民党の村上誠一郎氏にコメントをもらうためマスコミが日参しました。批判的な発言をもらえるからです。
石破氏もそういったポジションを得て、脚光を浴びるかもしれません。
自民党政権に批判的な勢力からは、コメンテーターとしての役割を期待されています。
2021年東京都議選で小池知事はどの政党を推すのか
決戦前夜
東京都議会議員選挙
2021年6月25日公示
2021年7月4日投票
私の住んでいる葛飾区にも選挙ポスター掲示板が設置され、選挙が近づいていることが感じられます。
2021年10月で衆議院議員の任期満了となるため、総選挙が行われます。東京都議会議員選挙はその前哨戦と位置づけられ、マスコミなどからは注文される選挙となっています。
2017年の選挙では
小池ブームが吹き荒れて、都民ファーストの会が大勝利を収めました。
都議会議員選挙の直後に行われた葛飾区議会議員選挙において、都民ファーストの会は5名擁立して1名の当選。
2018年、小池都知事の地元である練馬区議会議員の補欠選挙において、都民ファーストの会は敗北しています。
2020年7月に東京都議会議員の補欠選挙が4選挙区で敗北しました。都民ファーストの会はうち3選挙において候補者を擁立すらできませんでした。
前回の都議会議員選挙からこれまで、都民ファーストの会所属の都議会議員9名が会派を離脱しています。
前回都民ファーストの会と共闘した公明党は、今回自民党と選挙協力を行うことで合意しています。
2021年5月時点で、小池都知事は都民ファーストの会支持を表明していません。
2021年東京都議会議員選挙において
結果に終わると予想されます。
小池都知事としては、今後の議会運営を考えると都民ファーストの会を支援できない。また都民ファーストの会を見捨てることもできない。
結論として
選挙が終わるまで支持政党を表明しないという選択になると思います。
2016年小池都知事の意向を受けて、都民ファーストの会が設立されました。
同時期に政治塾「希望の塾」も設立され、この希望の塾から2017年に行われた東京都議会議員へと送り込まれたのです。選挙に弱い自民党・当時の民進党から鞍替えした人も多数いました。
2017年には小池都知事自身も都民ファーストの会代表に就任しています。
小池ブームの到来。
「希望の党」を設立しますが、排除します発言の影響で小池都知事の国政進出はなくなりました。
そして小池都知事自身は再選を果たしましたが、都議会議員補選・区議会議員選挙では敗走を続けています。
稀代の勝負師は必ず勝ち馬にのる
小池都知事の政治歴をみてみます。
細川代表に続き、比例名簿2に記載される。
1997年 自由党へ移籍する
当時の権力者である、小沢一郎氏の側近となる。
2000年 保守党へ移籍
自民党移籍を視野に入れた移籍と思われる。
2002年 自民党入党
保守党のメンバーとも決別して、自分だけ清和政策研究会(当時の森派)へ入会。その後の清和政策研究会の隆盛を見れば、先見の明があります。
2005年 刺客候補となり当選
小泉内閣の目玉政策である、郵政民営化関連法案が参議院で否決されて衆議院が解散される。
↓
↓
郵政民営化反対の急先鋒だった小林興起議員(東京10区)などが注目される。
↓
当時の小泉総理の秘書官であった飯島勲氏に連絡して、東京10区からの出馬を直訴。
↓
刺客候補として注目を浴びて知名度が全国区になる。無事当選する。
2016年 東京都知事選挙に当選
自民党での活躍の場が少なくなってきたのが原因と言われています。
2021年から起きること
2020年初頭から始まったコロナ禍において、大型商業施設・公共施設・教育機関などの多くでいまだに不自由な生活を余儀なくされています。
東京都内の公立小中学校に通う私の子供たちも、多くの学校行事が中止となり親として残念に思っています。
コロナ禍に対する具体的な執行権は、各都道府県にあります。国は予算をつけることが求められています。
小池都知事は果たして有効な手段がとれたのでしょうか。
2021年7月4日に都民の判断が下されます。
強すぎる追い風は時として強い向かい風になるでしょう。
北海道で立憲民主党が強い理由
2021年4月25日に北海道2区(札幌市北区・東区)にて補欠選挙が行われ、立憲民主党の松木謙公氏が当選しました。
自民党現職だった吉川貴盛氏が収賄罪で在宅起訴され、議員辞職したことによります。自民党は補欠選挙において候補者を擁立できず、不戦敗となりました。
北海道2区の歴史は、自民党(吉川貴盛氏)と旧民主党(三井辨雄氏)がしのぎを削ってきた選挙区でした。第二次安倍政権誕生後、3回あった選挙では吉川氏が勝利しています。
北海道には衆議院選挙区が12区あります。2017年の衆議院選挙において、5選挙区で立憲民主党が勝利しています。国会の質疑でよく見る、北海道8区選出の逢坂誠二氏が有名なところですね。
ではなぜ北海道で立憲民主党が強いのでしょうか。
一次産業の割合が高く、官公労などの組合の力が強い地盤があった。
今回の北海道2区補欠選挙においても、共産党は候補者擁立を見送って選挙協力をしています。
・立憲民主党が当選見込みの選挙区には候補者擁立を見送る。
・自民党候補者が当選見込みの選挙区に候補者を擁立する。
2021年に行われる衆議院選挙においては、北海道2区においては共産党は候補者を見送ることになると思います。
北海道議会議員選挙
国政選挙の手足となるのが、各都道府県議会議員選挙です。この勢力図を見れば、各政党の足腰の強さが分かります。
2019年に行われた、北海道議会選挙において自民党は36年ぶりに単独過半数を確保しました。
定数100に対して
自民党 51
公明党 8
立憲民主党 24
共産党 3
という結果でした。
特筆すべき結果として、1人区において自民党は17戦中11勝しています。
自力はあるのです。
都道府県議会選挙においては、政党というよりも個人の戦いになります。政党間の駆け引きもしにくく、ガチンコ勝負です。
北海道での共産党
北海道で共産党がどれくらいの得票をもっているのか。
2019年参議院選挙における比例得票をみていきます。
北海道
自民党 比例得票917.061 得票率35%
共産党 比例得票258.470 得票率9.94%
京都府の16%を除くと、共産党としてはトップクラスの得票率を獲得しています。
北海道の特殊事情を知るためには、この2つの存在を語らなければなりません。
北海道教育大学は1949年に設立された国立大学です。北海道内に5つのキャンパス(札幌・旭川・函館・釧路・岩見沢)があります。北海道内に教員を輩出する機関です。
北海道教職員組合員は現在約2万人いると言われています。人数こそ少ないですが、その影響力は絶大です。以前は父兄に政党活動もしていたという話もあるくらいです。まさに共産党の牙城と言っていいでしょう。
コープさっぽろは組合員約180万人おり、北海道の60%の世帯をカバーしています。北海道の人口が約520万人ということを考えると、ものすごい組合員ですよね。
コープさっぽろは店舗運営だけでなく、宅配も有名であり、近年の宅配加盟社数増加は目を見張るものがあります。
コープ=共産党というわけではありませんが、上層部は共産党支持者が多いと考えられるのが一般的です。
今後の北海道での選挙
今後の北海道の選挙を占う上で、札幌市(北海道1区~5区)の動向がカギを握ることになります。立憲民主党は現状、5選挙区のうち3選挙区をとっています。
それに対して、自民党は有効な手段を取れていません。
そういう厳しい状況にあるのが北海道の現状です。
投票率が低くても問題ない理由
投票に対する意識の違い
日本においては、18歳以上になると投票権が得られます。権利ですね。権利を行使して良いし、また行使しなくても罰則はありません。
年齢が高くなるほど投票率が高くなる傾向があり、そうした人は投票を「国民の義務」と捉える傾向にあります。秋田県に住んでいる70代後半になる私の父も、地元新聞を愛読し、テレビニュースを欠かさず視聴している典型的な高齢者です。
年齢が低くなるほど逆に投票率は低くなり、「個人の自由」と捉えます。情報はネットから取得して、電車で新聞を読んでいる若者は見なくなりました。特に学生は自民党の支持が高いことが分かってきています。おそらく失業率が低いことと関係があるからだと思います。
国政選挙が近づくと、勝敗予想とともに投票率の低下が叫ばれます。民主主義の危機だなどと。果たしてそうでしょうか。投票に行かないということは、現状に満足しているということでもあります。発展途上国の投票率は高い傾向にあります。
国政選挙で投票率が高かったのはどの選挙だったでしょうか。
2009年に行われた、第45回衆議院選挙です。投票率69.28%。
「悪魔のような民主党政権」誕生でした。
シンガポールの事例(義務投票制度)
シンガポールは投票に行けない海外在住者を除き、21歳以上の国民ほぼ全員が投票します。義務のため、選挙に行かないと選挙人名簿から抹消されます。投票に行けなかった人はその理由を政府に提出して、選挙人名簿に登録し直すのです。罰則は選挙人名簿からの抹消と罰金があるとも言われています。
シンガポール以外に投票義務を課している国
オーストラリア・ルクセンブルク・タイ・ベルギー・スイス・キプロス・フィジー・ナウル・ウルグアイなどがあります。
よく見ると、王族が支配している国が多い印象があります。選挙によって体制が転換しにくいということが、投票義務を課していることと関係あるかもしれません。
2017年東京都議会議員選挙
記憶に新しい投票率が高かった選挙というと、前回の東京都議会議員選挙を都民の一人として挙げないわけにいきません。
2013年 投票者数 4,606,599 43.5%
2017年 投票者数 5,593,630 51.28%
△987,031 約100万人投票者が増えました。
都民にとっては悲劇でしかありませんでした。
都民ファーストの会の実績
・子育てファーストの実績
・東京ダイバーシティを着実に推進
・スモークフリー東京まもなく実現へ
2017年選挙時から今日まで、都民ファースト所属の都議会議員6名がすでに離党しています。。無所属や他の会派に移籍していきました。
2021年の選挙には、現有議席46に対して、42人が立候補する予定です。
都民の支持を失ったという証左です。
投票とは
投票に行くのは自由です。
投票の結果を受け入れる義務は発生します。我々国民に求められるのは、投票に行くことではなく候補者を見極める目だと思います。世の中の風に流されないように気を付けたいものです。
岸田文雄氏が次期総理になれない理由
広島県の選挙事情
2012年2月2日、自民党・公明党の選挙対策委員長が会談しました。懸案となっていた、次期衆院広島3区の候補者を公明党の斉藤鉄夫副代表へ一本化するというものです。
衆院広島3区の現職(2021年2月時点)は、公職選挙法違反事件で自民党を離党した河井克行被告。自民党広島県連(会長 岸田文雄)は、公明党候補の擁立に対して反発しました。
衆院広島3区に公明党の候補者擁立決定は、岸田文雄氏の総理総裁への道が限りなくなくなったことを意味します。連立与党の公明党が、岸田氏に対して配慮する必要はないとみている。隣県の自民党山口県連(会長 岸信夫)に対して、同じ言動することはあり得ません。
選挙区事情と今後の動きをみていきます。
2017年総選挙
広島県は保守王国で、宏池会(岸田派)の牙城となっていることが分かります。
安芸門徒(あきもんと)の存在
安芸門徒とは、安芸国(広島県西部地域)の浄土真宗本願寺派の門徒のことです。浄土真宗本願寺派は全国に約800万人おり、仏教宗教法人の中で最多となっています。(創価学会は公称500万人)
古くは鎌倉時代に安芸国・備後(現在の広島県)に広まり、毛利元就など戦国大名の庇護のもと、大きな勢力となりました。
特に安芸国(衆院広島3区含む)には、多くの浄土真宗門徒が存在しています。
創価学会の以前の布教活動は活発なものであり、他の宗教との度々対立していました。浄土真宗も例外ではありません。
創価学会の会員の高齢化などの影響か、近年の選挙結果では公明党の得票減少が著しくなっています。また布教活動も以前ほどは聞かれなくなってきており、他の宗教の嫌悪感も薄れつつはあるのではないかと思われます。
他の地域よりも宗教色の強い地域に、あえて公明党がくさびを打ってきたことに特別の意味があるのです。
今年行われる衆院広島3区において公明党が議席を獲得した場合、今後簡単に手放すことはないと思われます。
宏池会の今後
岸田文雄氏は、2012年第9代の宏池会会長に就任しました。これまでの間には清和政策研究会(細田派)は安倍政権ということもあり、96人へと膨張しました。宏池会から枝分かれした志公会(麻生派)は、宏池会を抜いて第二派閥へとなりました。宏池会の影響力は薄くなるばかりです。
宏池会第二代会長であった前尾繁三郎氏は、俗にいう大平クーデターによって会長の座を降りました。時に佐藤総理総裁に対抗して、総裁選へ立候補をとりやめたということが巷間言われていた理由です。
当時の前尾氏の地元である京都府では、革新系の蜷川虎三氏が知事7選をしていました。前尾氏自身も選挙責任者である幹事長として、また地元選出の大物代議士として選挙を取り仕切っていましたが敗れ去りました。このことが間接的ではありますが、前尾氏の政治生命に大きく影響を落としたことは想像に難くありません。
自身の地元を取り仕切れない人物が、国政を取り仕切れるのかが問われているのです。
次期宏池会会長はこの人だ
現職である二階派の河村建夫氏(78歳)に対抗して、参議院選挙(山口選挙区)である岸田派の林芳正(60歳)が立候補するのではないかということです。林氏は立候補の明言こそしていませんが、行動は立候補に向けて動いているようです。
林氏は参議院議員当選5回。農水大臣や文部科学大臣などを歴任して、将来が期待される人物です。総理総裁を目指すならは、衆議院議員しか総理になれないため、鞍替えするしかありません。参議院議員(山口選挙区)から衆院山口2区へ鞍替えした、岸信夫氏のことも勿論頭にあることでしょう。
山口3区の状況をみてみましょう。
山口3区(有権者約26万人)
阿武郡(有権者3千人)
山口3区において宇部市の割合が5割を超える、大票田となっていることが分かります。
カギとなるのが東証1部上場企業であり、地元ダントツ企業である宇部興産の動向です。関連企業で従業員1万人であり、取引先を含めると膨大な人員となります。
林氏の母方の祖父は、宇部興産の創立者であり初代社長を務めた俵田明氏です。また現在社長を務める泉原氏とは、下関西高校・東京大学での同級生という間柄です。
衆院山口3区へ鞍替えして勝利することが、宏池会会長→総理総裁へとつながっていきます。そのすべてが林芳正氏の衆議院への鞍替えという決断一つにかかっています。その決断が日本の政治を動かすことになるでしょう。
何者でもない若者が自民党国会議員になる方法
国会議員になるルート5選
2020年9月に菅義偉氏が総理大臣に就任して、久しぶりの非世襲議員が誕生しました。秋田県のいちご農家に生まれ、段ボール工場で働き始めてから総理大臣に上り詰めるまでのストーリーは国民の夢と希望を与えました。マスコミによっては、田中角栄以来の「今太閤」と呼ぶ向きもあります。同じ秋田県出身者として誇らしい限りです。
菅総理が経歴についてある意味称賛されるのは何故なのか。それは珍しいからです。将来政治家を志す若者が、どのようにして政治家になるのか。自民党国会議員になるためのルートをみていきたいと思います。
・世襲
国会議員全体の約40%を占めています。親族が作り上げた選挙区でのいわゆる3バン(地盤・看板・資金)を引き継ぎ、当選していきます。安倍前総理・麻生財務大臣・二階幹事長もそうです。当選してからどのようなポストに就くかどうかは、本人の実力次第ですが。
・官僚(国家公務員)
いわゆるキャリア(国家公務員Ⅰ種)のことです。東大→財務省→国会議員という王道ルートのことでしょうか。最近では宮澤喜一元総理ですが、人数としては減少傾向なのでしょうか。世襲議員の増加で立候補できる余地がすくなくなっているからでしょう。菅内閣の主要閣僚でも、加藤官房長官くらいです。その加藤官房長官も広い意味では世襲ですが。
・マスコミ
30数年前の若き日の私もこのルート(新聞記者)で政治家を目指していました。当時の竹下内閣で、消費税導入やリクルート事件で世間が騒然としていた時代です。マスコミの中でも新聞は別格で、世論を動かす花形の職場に見えました。時代はインターネットへと移り、テレビや新聞は凋落の道をたどっています。
・公募
小泉政権時の郵政解散時に杉村太蔵氏が当選したことで、一躍脚光を浴びました。公募から立候補するには、書類審査・論文・面接に通ることが必要。第二次安倍政権時から積極的に行ったこの公募で、宮崎謙介氏・豊田真由子氏などの問題議員を誕生させて魔の三回生と言われています。故鳩山邦夫氏の地盤である福岡6区の公募でも、次男の鳩山二郎氏に決まったように、親族が応募した場合は世襲ということになるようです。
上記4つのルートを見てきましたが、世襲はともかく他の3つに必要なのは高学歴(経歴)だということです。新聞記者を目指していた筆者のような学歴(成蹊大学)だとこれらのルートは難しいということです。
そうした高学歴(経歴)を持っていない若者が自民党国会議員になるには、どのようなルートをたどればよいのでしょうか。
その理由をみていきます。
公設秘書と私設秘書のちがい
公設秘書
・政策担当秘書(資格試験合格者)給与(670~860万円)
・公設第一秘書(資格不要) 給与(554~860万円)
・公設第二秘書(資格不要) 給与(432~634万円)
公設秘書には3種類あります。これらは秘書給与を国費で賄い、特別国家公務員になります。ちなみに公設秘書を10年勤めれば、試験を免除されて政策担当秘書になることができます。公設秘書には議員の配偶者がなることは禁止で、後継者となる者がつくケースが多いです。勤務地は国会周辺となります。
私設秘書
議員は何人でも雇用できます。
給与(240~400万円)と薄給です。
仕事は議員の選挙区でのサポートになります。
・支援者の方へのあいさつ回り。後援会に入っている企業や個人の方へ会いに行く。
→人脈ができる。
・議員が参加する地域のイベントを探して調整する。
・議員が出席できない分、代理で出席してスピーチなどをする。
・東京でイベントがある際は、後援会の方へ参加を促す。
・議員が選挙区へ帰ってきた時の送迎。
後援者との窓口になることで、選挙区事情に精通することができる。公設秘書には親族が就くことが多いので、議員の汚れ役いわゆるグレーゾーンを担うことで政治のイロハを学ぶことになる。
何故参議院議員の私設秘書なのか。衆議院議員の私設秘書ではだめなのか。
菅総理は神奈川県選出の衆議院議員である、小此木彦三郎氏の秘書を11年務めました。1987年 横浜市議会議員に当選
1991年 小此木彦三郎氏死去
1993年 地盤を子息の小此木八郎氏が引き継ぎ、衆議院議員に当選
1994年 小選挙区導入により、選挙区が増える。
小此木彦三郎氏の地盤だった、旧神奈川1区(横浜市神奈川区・鶴見区・西区)
1996年 第41回衆議院議員総選挙
神奈川2区(西区含む) 菅総理当選
1994年の小選挙区導入がなく、中選挙区のままであったならば、菅総理は衆議院議員になることはなかったのかもしれません。
古賀誠氏
1940年生まれの現在80歳。1980年に旧福岡3区(現福岡7区)から当選10回。現在は議員を引退しましたが、自民党幹事長・宏池会会長を歴任した大物議員でした。
福岡県選出の参議院議員であった鬼丸勝之氏(在職1968~1974)の秘書(1967~1974)を務めました。1974年の選挙で鬼丸氏は選挙で落選して、秘書を失職することになったのです。後継者もいなかったようです。1980年の衆議院選挙までの6年間で、秘書の間に培った人脈を生かして地盤を固めたのでしょう。それが後に強個な地盤となり、中央政界で権勢をふるうことにつながったのだと思います。
どの選挙区がよいのか
私の出身地である秋田県(小選挙区は3選挙区)のような選挙区は難しいです。空きがあっても別の候補を立てられてたら立候補できる余地は少なくなります。10選挙区(北海道・東京・千葉・神奈川・埼玉・愛知・大阪・兵庫・福岡)あるのが望ましいと思います。秘書としての業務を行いつつ、明確な後継者がいない衆議院議員の後援者とのパイプ作りを行うのです。
私設秘書という仕事は薄給で、現代のワークライフバランスからしたら対極にある職業かと思います。政治家を志し、そのイロハを学ぶ人にとっては最強の職場となるのではないでしょうか。
岸信夫総理大臣就任への道のり
3年後の自民党総裁選へ向けて
2021年10月21日に衆議院議員の任期満了を迎えて、半年以内に解散総選挙が行われます。9月30日に自民党総裁の任期満了となり、総裁選挙が行われます。
NHKの世論調査によると、4月時点での菅政権の内閣支持率は44%。
2014年 安倍政権の解散時 48% 290議席獲得
2017年 安倍政権の解散時 44% 284議席獲得
コロナ禍で自民党の大幅な議席減を危ぶむ声もありますが、完全失業率も前回並みに低くなっています。東京オリンピック・パラリンピック後の解散となる見通しで、政権への追い風となるのではないかと思います。
菅総理に対抗できる強力なライバルも党内に不在のため、続投となる公算が高い。菅総理も今年12月で73歳になります。自民党総裁の任期は1期3年のため、2024年には次のリーダーにバトンタッチするという流れが妥当なところです。
2024年の自民党総裁つまり総理大臣となるのは、岸信夫現防衛大臣になります。安倍前総理の実弟です。その理由をみていきたいと思います。
自民党総裁選の仕組み
・1人1票の国会議員票 394票
合計 535票(過半数268票)
自民党総裁選は、国会議員の動向でほぼ決まります。(都道府県票に国会議員の意向が反映されるため)
自民党の各派閥の構成をみていきます。
・細田派 96人
・麻生派 55人
・竹下派 53人
・二階派 47人
・岸田派 47人
・石破派 17人
・石原派 10人
・無派閥 64人
(2021年5月現在)
2020年の総裁選においては、二階幹事長が真っ先に菅総理を支持して流れが決まったと報道されました。しかし実際は主流3派(細田・麻生・竹下)の支持表明で勝負あったわけです。とりわけ細田派96人が突出して多く、細田派の実質オーナーである安倍前総理の後継指名という意味合いが強いものでした。
安倍前総理が考える総理の条件とは
安倍前総理が再登板した理由は
・憲法改正
・拉致問題の解決
この2つを実現するためでした。
第二次政権在任7年8ヶ月の中で、外交・安全保障・雇用の改善など様々な成果がありました。しかし、上記2点は道半ばとなってしまいました。
憲法審査会
憲法審査会とは、衆議院・参議院に設置されている憲法に関する機関です。
主な役割として
・憲法に関する議論をする。
・憲法改正案が提出された場合には、審査して採決する。
衆議院50人・参議院45人となり、各会派の所属議員の割合に応じて構成されます。1/3以上の委員の要求があれば開会できるのですが、野党の抵抗により議論が進んでいません。つまり憲法改正の入り口にも立っていないとういことです。
岸信夫総理大臣への道のり
安倍前総理のレガシーを継げる人物は誰なのか。またその人物が総理大臣に就任することで、憲法改正を実現するという明確なメッセージを発信できる人物は誰なのか。
国民の人気が高いと言われる、小泉進次郎氏や河野太郎氏にメッセージを発信することはできるでしょうか。また国民がそのメッセージを受け取れるでしょうか。
総理大臣就任の条件として、自民党三役(幹事長・総務会長・政務調査会長)や重要閣僚(財務・外務・経済産業・官房長官など)の歴任が挙げられます。国民の人気は別にして、実際の自民党総裁へ立候補して本命・対抗と目されるのはこうした役職を経験した人物となっています。
岸信夫総理大臣就任に向けて、今後3年間どんな軌跡をたどるのでしょうか。菅総理同様、官房長官に就任して国民に徐々に周知してもらうのがベストの選択だと思います。