経済財政諮問会議という現代の大本営
大本営とは
「大本営発表」という言葉を聞いたことがあるかと思います。社会の授業で習いましたよね。大本営が国民に向けて、戦争の状況を伝えていました。終戦間近は、虚偽の情報ばかりでしたけど。
現代社会では、虚偽の情報を伝えることを大本営発表と言います。
そもそも大本営とは、日清戦争から太平洋戦争までに設置された、日本軍の最高司令部です。
次長(参謀次長・軍令部総長)
第一部長(作戦部長)
作戦課長
このメンバーで構成されていました。
統帥権の独立のため、内閣総理大臣・外務大臣などは出席できず、陸軍大臣・海軍大臣は出席できても発言権はありませんでした。
戦時中は、こうした一部メンバーにより作戦が遂行されていたのです。
現代の大本営
経済財政諮問会議という、内閣府に属する重要政策会議があります。2001年に橋本龍太郎内閣で設置されました。
構成メンバーは、内閣総理大臣含めて5人の大臣・民間議員4人・日本銀行総裁の計11人です。
その役割としては
経済全般運営の基本方針、財政運営の基本、予算編成の基本方針、その他の経済財政政策に関する重要事項を調査審議する。
日本経済の低迷を意味する、失われた20年という言葉の出発点は、この経済財政諮問会議発足と合致します。
日本の経済財政政策決定までの流れ
日本の経済財政政策は、この経済財政諮問会議が司令塔の役割を果たします。
経済財政政策が決定する流れをみていきましょう。
①経済財政諮問会議が、骨太の方針(経済財政改革の基本方針)を策定。(6月頃)
④各省庁から、財務省へ概算要求する。
⑤財務省原案がでる。
⑥政府原案がでる。
⑦国会で審議・可決する。
経済財政諮問会議の原案(骨太の方針)に沿った政策が、国会で可決する流れとなっているのです。
過去の主な政策
経済財政諮問会議が行った過去の政策はどのようなものがあるでしょうか。過去の政策といっても、ほとんどの政策の指針を決定しているので、我々の生活に直結しているものをご紹介していきます。
・郵政民営化関連法案
・消費税増税
・厚生年金保険料増額
一番有名なのは、小泉内閣時の郵政民営化関連法案でしょうか。小泉元首相はこの経済財政諮問会議をうまく利用して、マスコミを通じて国民にアピールしました。結果は皆さんご存知の通りです。
経済財政諮問会議は、現在の菅政権においては財務省の影響下にあると言われています。国民からまんべんなく徴収できる消費税については、虎視眈々と値上げのタイミングを見計らっていると思います。paypayなどのQRコード決済の普及・マイナンバーカードの導入は、そのための布石と言えます。
2020年9月から、厚生年金保険料が値上げとなりました。対象となったのは年収が762万円以上の方で、月額約5000円の負担増です。それも等級を1段階あげるという姑息なもので、サラリーマンには分かりづらいものです。税金を徴収したくてたまらないでしょう。
国民にできること
政治に無関心な国民が増えている、と言われて久しいです。国政選挙の投票率も50%前後と、有権者の半分が棄権してる状況です。
失われた20年と言われていますが、このままだと30年、40年になってしまいます。
国民の政治に対する無関心を逆手に、権力者側は自分たちの都合の良い政策を続けています。そのためには国民の側も政治に関心を持ち、常に監視の目を光らせることです。
一人でも多くの国民が、政治に対する関心を寄せることを期待します。