地方議会議員の報酬は高いのか
各国の地方議会議員の報酬
日本 762万円
韓国 240万円
アメリカ 65万円
ドイツ 50万円
フランス・スウェーデン・スイスなどは無報酬
こういうのを見ると、給料もらいすぎという議論や議員定数の削減という方向になりがちです。
東京都議会議員は手当を含めると、約2400万円の報酬となります。財政規模が違うだけで、議員の仕事に大きな違いがあるとは思いません。都民の一人として、見直してもよいのではという思いは正直あります。
議員の主な仕事は何でしょうか。
・立法する
・住民の意見を反映させる
・採決
といったところでしょう。
大きな役割は行政のチェック機関という役割です。
日本の地方議会は、中選挙区制度を採用しています。この制度のおかげで少数政党も議席を確保して、いわゆる死票を少なくできるのです。
地方議会にかかわる経費には以下のものがあります
・議員報酬と手当
・議長交際費
・印刷製本費
・事務局人件費
などです。
こうした経費は半数以上の自治体において、予算の1%以下となっています。
予算全体から見ると、微々たるものです。
行政の無駄遣いはないのか。また適切な予算執行がされているのか。住民に代わって適切に運用してもらう人と考えれば、それほど高い経費ではないのではないでしょうか。
760万円という報酬は、サラリーマンと比較したら高いと思います。けどべらぼうに高いという訳でもない。
4年に1度、落選(失職)するリスクがあると考えれば、個人的には適正なんじゃないかと思ってます。
デンマークの地方議会
フランス・スウェーデン・スイスなどの地方議会が無報酬ということでしたが、欧州に無報酬・日当制・兼業で議員をしているケースが多いように見受けられます。
1つの事例として、デンマークの地方議会を見ていきたいと思います。
人口 約580万人(北海道が約530万人なので、イメージできると思います)
政治体制 立憲君主制(日本と同じ)
投票率 85%
県・市の役割 県は医療のみで、身近な行政は市が行う。
地方議員 無報酬
デンマークはドイツと陸続きになっている部分と、数多くの島からなっています。そして首都は島にあるという、世界でも珍しい国です。
OECD加盟国中、個人所得が一番高い国。そして、政治腐敗が少ない国となっています。その理由として、移民するにはとてもハードルの高いということも関係あるかもしれません。
市の権限が大きいことは、日本としても参考になる部分ではないかと思います。
こうしたデンマークの事例を日本が採用するとどうなるのか。採用した市町村があるのでご紹介します。
カリスマリーダーが遺したもの
福島県東白川郡矢祭町。人口約5900人。福島県の南端にあり、茨城県との県境にある小さな町です。タレントのあばれる君の出身地でもあります。
平成の大合併が起こっていた2001年、矢祭町は市町村合併をしないという「矢祭町宣言」をしました。マスコミは大挙して矢祭町に押し寄せ、当時の根本元町長が取材の応じて注目の的となりました。他市町村からは大分怨嗟の声があったようですが。
同時に行政のスリム化も行いました。
議員定数 18人→10人
議員報酬 月額20万8000円 →日当制(議会または委員会に出席するごとに3万円)
議員1人あたり、約350万円→約130万円
この他にも、図書館については全国から多くの寄贈があったようです。
議員になることに報酬面の魅力がなくなれば、議員になろうという人や地域の人々の意識が変わることが期待されてこの制度が始まりました。
次回選挙では、仕事を持っていて安定した収入のある人ばかりが当選しました。
制度開始から約20年経ちました。カリスマリーダー不在となり、議会内では再び月額性に戻そうかという議論があるようですが、まだ様子見といったところのようです。
所見
日本の地方選挙というのは、お祭りです。選挙事務所では飲食が振る舞われることが、半ば常識となっています。
選挙カーに乗って、名前を連呼していくとのも日本独特です。そのスタッフもすべてボランティアということはできなくて、日当で雇わなければなりません。河井元法相が逮捕されたのも、この日当の件でしたよね。
政治・行政側にばかり求めるばかりではなく、住民側の意識も分からなければならない問題だと思います。
民主主義はお金がかかります。お金がかかることは悪いことばかりではありません。