共産党は禁断の果実なのか
突然の発表
2021年7月12日のことです。
日本共産党小池書記局長は、次期衆議院選挙に予定している、東京2区の候補者である細野真理氏を比例代表東京ブロックへ転出することを発表しました。比例票の掘り起こしが主な理由とのことです。
マスコミもよく分かっているようで、すぐさま立憲民主党へ取材に行きました。報道によれば、立憲民主党は困惑しているようです。
2021年7月4日に投開票が行われた東京都議会議員選挙において、立憲民主党は議席を倍増させました。主な要因としては、共産党による、ほとんど一方的な選挙協力にあります。共産党候補者が立候補を取りやめることによって、立憲民主党へ得票が集まったためです。
立憲民主党の支持母体である、労働組合の中には共産党アレルギーがあると聞きます。議席確保のためには、共産党の申し出を受け入れるしかありません。
人間関係に例えると
そんなに好きでもないけど、お金(集票)があるから付き合っておくか。また周囲(支持者)は反対するから、ポーズでも嫌な感じはだしとくか。といったところでしょうか。
自民党・公明党という与党に対抗する上で、野党連合を結成するための中心的な存在に共産党はなったのです。
戦後長い間、いわゆる共産党抜きという状態からやっと陽の目を見る存在になりました。ようやく共産党にも春が訪れたのです。
立憲民主党の取るべき態度とは
冒頭にあった衆議院東京2区での事例で、立憲民主党はどのように反応すべきなのでしょうか。
歓迎すると表明した場合
今回の困惑という態度表明も、歓迎するのと同じ態度と周囲にはとられています。同意したということです。この場合、有力な支持母体である労働組合からの強烈な突き上げがあることでしょう。それを避けるために、困惑という態度表明をしたものと思われます。
安倍政権になってからが特に顕著ですが、自民党政権の経済政策は左派的なものとなっています。首相自ら経団連に賃金アップを申し入れるなんて、本来立憲民主党などの左派がやるべきことです。
立憲民主党がこうしたあいまいな態度をとり続けていくと、有力支持母体を徐々にうしなっていくことでしょう。
拒絶した場合
「共産党とは連携していません」と表明した場合、それでも共産党は何らかの手段で立憲民主党を取り込もうとするでしょう。共産党は陽の目を見たくてしょうがないのです。
支持者にも良い顔ができるし、共産党の協力も得られるし、一挙両得の戦力となります。
共産党はどのような組織なのか
共産党は、破壊活動防止法の対象団体です。警察庁としても、暴力革命の方針を堅持していると認識しています。
日本の公的機関としては、そういう認識だということです。
党員は2000年には約39万人だったのが、現在は約27人となっている。主な収入源となっているしんぶん赤旗の購読者は、1980年代は355万人が、現在は100万人を割り込んだと見られています。
共産党の党員の半分以上が、65歳以上となっています。若者が入党しない政党に未来はあるでしょうか。
共産党が立憲民主党に近づく背景には、党員の高齢化と減少に対する猛烈な危機感があるのです。
今後の行方
立憲民主党は、今後も曖昧な態度をとり続けるでしょう。それは結局有力な支持者の離反を招き、組織としての弱体化を招くことにつながります。
また共産党の老獪な戦略にはめられ、薬漬けになった体のように蝕まれていくことでしょう。
共産党が以前言っていた、「確かな野党」は必要だと思います。しかし、政権を目指さない無責任な野党は必要でしょうか。
私自身は自民党支持者ですが、政権戦略を持った野党は必要だと思っています。それは日本国民にとって不幸以外何者でもありません。